【 概 要 】−医王院は奈良時代に創建された古寺で天平元年(729)には勅額を賜っています。境内背後には6世紀初頭に築造された若宮古墳(前方後円墳)が控えていた事から古くから神聖視されていた場所だったと推察され、若宮古墳は護国八幡宮の祭祀施設として信仰の対象となり、平安時代中期以降に古墳に安置された銅造阿弥陀如来坐像(富山県指定文化財)がその後、護国八幡宮に移され、さらに明治時代の神仏分離令後に医王院に本尊として遷されています(同様に護国八幡宮の御神像として安置されていた木造僧形八幡神坐像も当寺に遷され富山県指定文化財に指定されています)。山門(切妻、桟瓦葺、三間一戸、八脚単層門)に安置されている仁王像は初代鎌倉幕府将軍源頼朝が倶利伽羅長楽寺に寄進したもので、慶長3年(1598)には長楽寺の秀雅上人が頼朝縁の寺院という事を理由に前田利長から庇護を請うた由緒ある像でしたが、明治時代の神仏分離令と廃仏毀釈運動により長楽寺が廃寺となり明治2年(1669)に医王院に遷されています。十王像は慶長17年(1612)に再興に尽力した前田利長が大病を患った際に病気平癒を祈願する為に秀雅上人が願主となり、奥方・御殿女中等が施主として寄進した由緒ある像でしたが、仁王像と同様に長楽寺が廃寺になった為に明治2年(1669)に医王院に遷されています。仁王像(阿形・吽形)と十王像は小矢部市指定文化財に指定されています。
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